放射線治療科

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肺がんの放射線治療について

はじめに

肺がんに対する放射線治療には下記のようにいろいろな目的や方法があります。また,放射線治療単独で治療する場合と他の治療法を組み合わせて行う場合があります。当院では,最新の放射線治療技術を用いて,個々の患者さんにとって最適な放射線治療を行っています。当院において肺がんに対する放射線治療を行った患者さんの数は,2015年74人,2016年60人,2017年51人でした。

当院の放射線治療装置(リニアック)

治療室内のCT装置

早期肺がんに対する定位放射線治療

(1)対象

病変が肺の中に限局しており転移のない患者さんが対象です。このような早期の肺がんの治療方法としては,通常,手術療法が第1選択となりますが,高齢や他の内科的な疾患を持っておられるために手術の負担が大きい場合があります。定位放射線治療は身体に対する負担が非常に少ない治療法であり,このような患者さんに対しても安心して行うことができます。

(2)方法

病変に放射線を正確に集中させて1回に多くの放射線を照射することがこの治療の特徴です。治療回数は5~10回程度と通常の放射線治療に比べ少なく,通院での治療も可能です。放射線を正確に照射するために,毎回の治療直前に病巣の位置を画像上確認して治療を行います。当院ではCT同室放射線治療装置(治療室内にCTがあり同じ寝台でCT撮影と治療が行える装置)を用いています。呼吸により病巣部が移動する場合は呼吸を止めて頂いた状態(1回10秒程度)で治療を行います。

(3)効果と副作用

通常の放射線治療に比べ治療効果が高いことが特徴で,3cm以下の肺がんの場合,治療部位の腫瘍を消失させる確率は80%程度と報告されています。治療による自覚的な副作用については,ほとんどの患者さんについては何もありません。稀に,放射線が照射された部分の肺が炎症を起こして咳や発熱を認めることがあります。

(4)早期肺がんに対する定位放射線治療の治療例

治療前(左肺に約3cmの腫瘍)

治療後1年(腫瘍は消失)

局所進行肺がんに対する放射線治療

(1)対象

肺がんが,肺の内部~肺の周囲の組織~胸部のリンパ節の範囲内にあるものの,病変の位置や範囲から手術の適応になりにくい場合が対象です。

(2)方法

がんの病巣部と転移があるリンパ節に対して放射線を照射します。1回10分程度の治療を合計30回程度行います。病変部位以外の放射線の線量がなるべく少なくなるようにいくつかの方向から治療を行います。通常は,抗がん剤治療を同時に行います。抗がん剤を併用することで放射線治療の効果が高まるとともに離れた部位への転移を抑えることができます。

(3)効果と副作用

放射線の治療効果によりがんは縮小します。がんが消失する場合と残存する場合がありますが,治療後の画像診断などで効果を判定し,継続治療の必要性などについて相談します。放射線治療の副作用は治療部位に直接関連したもののみが生じるため,病変の範囲や部位によって患者さんごとにその内容は異なります。生じる可能性のある副作用としては,食道の炎症による嚥下障害,気管支や肺の炎症による咳や発熱,皮膚炎による皮膚の発赤や痒みなどがあります。通常は治療終了数週間で消失し,全身への影響はありません。

(4)治療成績

2008年4月~2017年12月に抗がん剤を併用して放射線治療を行った3期の局所進行肺がん64人の5年生存率は32%でした。

(5)局所進行肺がんの治療例

治療前(右肺に約5cmの腫瘍)

治療後1年(腫瘍は消失)

症状緩和目的の放射線治療

(1)対象

肺癌が増大し種々の自覚症状を認めるときに,放射線治療により症状を軽減することができます。また,肺癌が他の臓器に転移している場合,治療の中心は抗癌剤治療となりますが,転移病変による症状が強い時は放射線治療を加えることで症状を軽減することができます。特に,疼痛が生じることが多い骨転移や神経症状が出現する脳転移に対して放射線治療は非常に有効です。

(2)方法

治療方法や回数は治療部位によって異なります。骨転移に対しては通常5~10回,脳転移に対しては10~15回程度の治療を行います。また,限局した脳転移に対しては,脳に対する定位放射線治療も行っています。

(3)効果と副作用

多くの疼痛を伴う病変の場合,放射線治療により80%程度の患者さんで症状の軽減が得られます。症状が完全に消失することもしばしばあります。副作用は,治療する部位により異なりますが,比較的少ない量の放射線治療で症状の軽減が得られるため,副作用は軽度の場合がほとんどです。骨転移や脳転移に対する治療については,骨転移の放射線治療,脳転移の放射線治療,の項目を参照ください。

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