救命救急センター/救急科

このページを印刷する

施設認定

日本救急医学会 救急科専門医指定施設

日本集中治療医学会 専門医研修施設

日本航空医療学会認定施設

特色・診療内容

▶救急診療

当院は広島県内に7つある救命救急センターのひとつです.救命救急センターとは,重症の救急患者に対応できる体制を持つ医療機関として厚生労働省が認可しており,全国に約290カ所あります。救急科の医師は,『ホットライン』と呼ばれる緊急専用電話を通して,現場の救急隊員,消防の119番通信指令室,ドクターヘリ・ドクターカ-スタッフらと直接情報を共有し,重症患者の受け入れを円滑に行っています。当院を含む広島市内のいくつかの医療機関では,メディカルコントロールの一環として,広島市消防局および府中町消防本部の救急車内の映像,モニター画面,心電図波形,ビデオ喉頭鏡の画像を伝送するシステムを設置しており,ホットラインの電話で会話しながら重症患者の状態を視覚的にも共有することが可能となっています。

また,世界を席巻した新型コロナウイルス感染症に対しても,救急科は全面的に関わっています。呼吸器内科・総合診療科・精神神経科をはじめとして,院内多職種と協働し,中等症から重症患者まで幅広く受け入れて診療を行っています。特に,新型コロナウイルス感染症専用病棟で人工呼吸を要する重症患者は,救急科が主体的に全身管理に携わり,全力で診療に当たっています。今後も通常の救急医療との両立を図り,重症患者の救命のために闘い続けます。

救急隊からの救急搬送受入要請応需率[PDF:90KB]

▶災害医療

当院は広島県の基幹災害拠点病院です。基幹災害拠点病院とは,原則として都道府県に1施設が設置され,都道府県内の他の災害拠点病院(広島県には19病院あります)に対し,災害時にはその機能を支援し,平時には訓練・研修において指導的機能を持つ,災害医療に関して都道府県の中心的な役割を担う病院です。当院は,医師,看護師,薬剤師,診療放射線技師,臨床工学技士,臨床検査技師,栄養士,事務員など様々な職種からなる厚生労働省の日本DMAT(Disaster Medical Assistant Team)隊員19名を有し,そのうち3名はインストラクター資格を持っています(2021年4月現在)。

これまでも,2011年3月11日の東日本大震災,2014年8月20日の広島土砂災害,2016年4月の熊本地震,2018年7月の西日本豪雨などの災害にDMATを派遣し,被災地での活動にかかわってきました。

2018年7月の西日本豪雨災害では,死者108名,行方不明者6名と広島県は最も人的被害が大きかった中で,私たち救急科も土砂災害現場への出動,県庁の調整本部での活動,病院に押し寄せる傷病者の診療など,様々な形で災害対応にかかわりました。

定期的にDMAT隊員の会議や院内訓練を開催し,日本災害医学会のMCLSコース(多数傷病者への対応標準化トレーニングコース),その上級編である化学物質や放射線災害を含む特殊災害対応の習得を目指すCBRNEコ-スの開催,消防学校における災害訓練への参加および指導,医師会や行政機関へのEMIS(災害時に被災状況などを入力し全国的に共有できるネットワーク)入力の指導,消防機関や海上保安庁との院外訓練などにもかかわっています。

また,国内の災害だけでなく,国外の災害に対応するJICA(国際協力機構)の国際緊急援助隊の医療チームおよび救助チ-ムに所属する救急科スタッフもおり,広い視野で災害対応ができるように備えています。

▶病院前救急医療

ドクターヘリ事業・ヘリ的事業

2013年5月に広島県ドクターヘリが運航開始となり,当院は協力病院として,広島大学病院とともに医師・看護師がフライトを重ね,迅速に現場等で初期診療を行うことにより,多くの重症患者の救命に携わっています。広島県方式として,広島ヘリポートにドクターヘリ基地を設置,フライト医師・看護師が基地に常駐し,要請に応じて速やかに出動できる体制を整えています。

中国地方5県および愛媛県と相互応援協定を結んでいるため,広島県東部は岡山県ドクターヘリ,広島県北部は島根県ドクターヘリ,広島県西部は山口県ドクターヘリ,広島県島嶼部は愛媛県ドクターヘリと県境を越えて,時には2機のドクターヘリが協働して多数傷病者事案などに対応することもあります。

ヘリ的事業とは,ドクターヘリ運航開始前から広島県独自の全国に誇るシステムの一つで,広島市消防局ヘリの「ひろしま」あるいは広島県防災ヘリの「メイプル」に医師・看護師が乗り込み,いわば第2,第3のドクターヘリとして現場に急行し早期医療介入を目指すものです。ドクターヘリが活動中,別のドクターヘリ要請事案が生じた際に,奇数日は広島大学病院,偶数日は当院の医師・看護師が,病院屋上でピックアップされ現場へ向かいます。このような「ヘリ的事業」は,広島県ドクターヘリが運航開始後も継続して日常的に活用されており,全国的にも大変珍しいシステムです。

ドクターカー事業

2018年7月から広島県で初めてドクターカーの運行を開始しました。県内13消防本部からドクターカー要請を受けた約3分後には,消防OBが運転する当院の専用車両に医師と看護師が乗り込み,現場に向けて出発するラピッドカ-タイプです。時にはセブンイレブンや消防署をドッキングポイントとして活用しながら,現場の救急隊・ポンプ隊・救助隊,警察とも連携し,早期の医療介入を行います。協働した救急隊の救急車内で傷病者の初療を行いつつ,当院を主とした医療機関への搬送を行います。ドクターヘリとの協働事案もあり,臨機応変にマネジメントしながら,早期医療介入による傷病者の予後改善を目指しています。

また,全国でも珍しい新生児搬送を行っているのも特色の一つです。県内の開業医や他病院で誕生した新生児のうち,当院の周産期医療センターでの管理が必要と判断された児を当院に転院搬送する場合,当院の新生児科・小児科医師がクベースと呼ばれる保育器とともにドクターカーで新生児のもとに向かいます。新生児を保育器に収容した上で救急車に医師が同乗して,当院に安全に搬送することができます。

頻度的な順番では,病棟,外来,検査室,そして病院の玄関や売店など,院内のあらゆる場所で,患者さん,その他の来院者,時には当院職員の急変が発生することがあります。その際に,そばにいる職員が「72コ-ル」という当院の院内急変対応の専用電話に要請の連絡をして,院内急変対応チ-ム(救急科医師と救命センター看護師)が気道管理セットやAEDなどを持って院内どこでも駆けつけるシステムがあります。意識を失った,血圧が低いなど,心肺停止に陥る前に,早期から院内急変対応チ-ムが介入することで急変患者等の予後を改善させることにつながります。駆けつけたチ-ムの医師,看護師が,現場の医師,看護師らと協働して対応することで,スタッフ全体の対応能力を向上させる教育的な効果も期待できます。必要に応じて,経験豊富な救命センター看護師が,後日に現場スタッフとデブリーフィングを行ったり,急変時のシミュレーション教育を行ったりしています。

表1)ドクターカー出動件数

  2018年度 2019年度 通算
要請 406 677 1,083
出動 363 612 975
事案 262 389 651
キャンセル
(出動前・後)
110 232 342
  2018年度 2019年度 通算
現場救急 220 330 550
新生児搬送 34 46 80
成人施設間搬送 8 13 21

図1)ドクターカー出動内容の内訳(2019年度)

図2)ドクターカー出動症例の内訳(2019年度:389例)

図3)3次救急受入件数の推移

▶院内急変対応

頻度的な順番では,病棟,外来,検査室,そして病院の玄関や売店など,院内のあらゆる場所で,患者さん,その他の来院者,時には当院職員の急変が発生することがあります。その際に,そばにいる職員が「72コ-ル」という当院の院内急変対応の専用電話に要請の連絡をして,院内急変対応チ-ム(救急科医師と救命センター看護師)が気道管理セットやAEDなどを持って院内どこでも駆けつけるシステムがあります。

意識を失った,血圧が低いなど,心肺停止に陥る前に,早期から院内急変対応チ-ムが介入することで急変患者等の予後を改善させることにつながります。駆けつけたチ-ムの医師,看護師が,現場の医師,看護師らと協働して対応することで,スタッフ全体の対応能力を向上させる教育的な効果も期待できます。必要に応じて,経験豊富な救命センター看護師が,後日に現場スタッフとデブリーフィングを行ったり,急変時のシミュレーション教育を行ったりしています。

▶メディカルコントロール事業

広島県メディカルコントロール(MC)協議会や広島圏域MC協議会の委員,検証医師を多く擁し,救急隊員の現場活動の事後検証,プロトコル作成,継続教育,病院実習などに参画しています。広島県消防学校や広島市消防局救急救命士養成所で開催される各種の講義・講習での指導,県内外の救急救命士への指導などにも積極的にかかわっています。

▶教育・研修活動

いざというとき,救急現場で適切に対応するためには,あらかじめシミュレーションで学び体験しておくことが有用であり,シミュレーション教育にも力を入れています。当院研修医向けの定期的な外傷救護・診療講習会,研修医や看護師・薬剤師向け日本救急医学会のICLS(心肺停止患者さんの最初の10分間に適切に対応するためのコース),内科医を対象としたJMECC(日本内科学会内科救急・ICLS講習会),日本母体救命システム普及協議会のJ-CIMELS,消防や自衛隊向けのJPTEC(病院前外傷救護標準化教育プログラム),院内外の多職種向け災害対応MCLS(日本災害医学会の多数傷病者への対応標準化コ-ス),JATEC(日本外傷診療研究機構の外傷初期療標準化プログラム),AHAアメリカ心臓協会の一次救命処置BLS,二次救命処置ACLS,小児救急の評価・認識・病態安定化PEARS,小児二次救命処置PALS,さらにCPVS(バイタルサインセミナー)などの開催,院外への講師派遣を行っています。

また,一般市民を対象として一次救命処置PUSHコ-スを開催する広島PUSHプロジェクトを立ち上げ,2018年からこれまで63回の開催,受講者数1500名を超える方々を対象に,小学校,中学校,高校,スポーツクラブ,企業などを対象に救命講習活動を行ってきました。

▶外傷患者さんへの対応

上述のように,広島県には7つ救命救急センターがありますが,重症外傷患者さんの診療も救命救急センターの重要な業務の一つです。当院ではこれまでも年間50例以上と多くの重症外傷(ISS≧16,ISS:Injury Severity Score)患者さんを受け入れてきました(表2)。多発外傷はもちろん,頭部外傷,胸腹部外傷,脊椎・骨盤,四肢外傷などの救急搬送患者さんを救急科で受け入れ,脳神経外科,消化器外科,呼吸器外科,整形外科,泌尿器科,放射線科などと協力して診療を行っています。生命にかかわる重症外傷患者さんの場合には,救急外来からの急速輸血,REBOA(Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion Of the Aorta)挿入や,心停止が切迫している,あるいは病院到着直前に心停止した患者さんの場合,救急外来で蘇生的開胸術を救急科が行うこともあります。

手術やカテーテル治療などの根本的治療は,専門診療科にお願いすることが多いのですが,骨盤,四肢骨折の緊急手術を整形外科と共に行ったり,腹部臓器損傷による出血性ショック症例では,ダメージコントロール手術を消化器外科と共に行ったりもしています。

ドクターカーやドクターヘリで対応した肝損傷,脾損傷など重傷体幹部外傷の患者さんの場合には,現場のドクターカー,ドクターヘリの医師が当院のホットラインに連絡し,緊急輸血や緊急手術の必要性を伝えます。当院では病院到着後約45分~90分で緊急手術が開始できます。この時間は全国平均で約3時間と言われており,当院では全国の他の重症外傷を受け入れている施設と比べても,かなり迅速に緊急手術が開始できる体制が整っていることになります。ドクターカーの運用開始後は,手術開始までの時間がさらに短縮されています。病院到着前にショックに陥っている重篤な患者さんの場合,ドクターカースタッフ同乗の救急車が病院到着後,もしくはドクターヘリが病院屋上ヘリポートに到着後,直接手術室に入室して手術になることもあります。この場合,病院到着後約15-25分で緊急手術が開始されます。ドクターカーの導入により,重症外傷患者さんの救命にも目に見える効果が表れていると言えます。

なお,当院は2020年度から日本外傷学会外傷専門医修練施設の暫定認定施設となりました。今後も関連診療科と連携し,外傷患者さんのお役に立てるよう引き続き努力して参ります。

表2)重症外傷受入件数の推移

重症外傷症例(ISS≧16)
2015年度 121
2016年度 65
2017年度 92
2018年度 101
2019年度 80

外来診療時間

午前8時30分~午後5時15分

※初診の方はかかりつけ医の
 紹介状を持参してください。
※予約の無い方の受付時間
 午前8時30分~午前11時
(予約のある方の後での診療に
 なります)
※診療科によっては受診できない
 場合があります。
 ≫≫手術日の注意[PDF]
 ≫≫外来診療担当医表
休診日
土曜,日曜,祝日,年末年始
(12月29日から1月3日)
面会時間
11時~13時まで(平日)
15時~20時まで(平日)
11時~20時まで(土・日・祝日)

〒734-8530
広島市南区宇品神田一丁目5番54号
TEL(082)254ー1818(代表)

①⑦⑤番

「県病院前」下車徒歩3分

広電バス 12号

「県病院前」下車徒歩1分

まちのわループ 301,302

「県病院前」下車徒歩1分