食道がん
食道がんの放射線治療について
食道がんの主な症状は食事を飲み込むときの通過障害です。食道がんは比較的進行が早いため,多くの場合はある程度進行した状態で発見されます。治療方法としては,がんが食道粘膜に留まる早期がんに対しては内視鏡による切除が可能ですが,その他のほとんどの場合は手術または放射線治療が治療の中心となります。食道がんに対する放射線治療は,近年,治療方法が進歩し,手術成績に近い治療成績が得られています。
対象について
病変が切除可能な範囲にある場合は手術が第1選択になります。しかし,食道がんの手術は全身への負担が大きいため,高齢者や他の疾患を合併している患者さんまたは手術を希望されない患者さんに対しては放射線治療を行います。また,食道周囲にがんが広がり手術が困難な場合は放射線治療の対象になります。
治療方法
食道がんは食道周囲のリンパ節に転移をする頻度が高いため,放射線治療は食道の病巣部と食道周囲のリンパ節を含んで行います。毎日1回づつ,合計30~33回の治療を行います。抗がん剤治療を同時に行うと治療効果が高まるため,通常は,放射線治療の1週目と5週目頃に抗がん剤治療を併用します。
効果と副作用
放射線治療の効果でがんは縮小します。がんが完全に消失するかどうかはがんの進行度によって異なります。早期の食道がんでは高率に消失させることが出来ます。
治療中の主な副作用は食道の炎症による嚥下時違和感や嚥下痛です。治療終了2~3週間で消失します。その他,治療部位の皮膚の炎症による皮膚の発赤や痒みが生じることがあります。これらも治療終了2~3週間で消失します。稀に発熱を認めることがあります。その他,併用する抗がん剤の影響で食欲低下や吐き気,血液(白血球,赤血球,血小板)の数の減少が生じることがあります。また,時に,治療後に胸水(肺の周りに水が溜まること)や心のう水(心臓の周りに水が溜まること)を認めることありますが,治療を要することは稀です。
当院の治療成績
2008年4月から2015年12月までの間に放射線治療と抗がん剤治療を併用して治療した食道がんの患者さんは102人でした。進行期別では,1期20人,2期13人,3期50人,4期19人でした。2016年3月の時点で,食道がんによる死亡が38人,他の疾患による死亡が12人,再発や転移に対して治療中の患者さんが7人で,再発なく生存中の患者さんは45人でした。5年生存率は,全体では37%でした。
治療例
病変が切除可能な範囲にある場合は手術が第1選択になります。しかし,食道がんの手術は全身への負担が大きいため,高齢者や他の疾患を合併している患者さんまたは手術を希望されない患者さんに対しては放射線治療を行います。また,食道周囲にがんが広がり手術が困難な場合は放射線治療の対象になります。
食道のレントゲン写真
(治療前)
腫瘍により食道が細くなり曲がっている
食道のレントゲン写真
(放射線治療後)
腫瘍は消失して食道の壁がまっすぐになっている
- 外来診療時間
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※予約の無い方の受付時間
午前8時30分~午前11時
(予約のある方の後での診療に
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