炎症性腸疾患の治療
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炎症性腸疾患(IBD = Inflammatory Bowel Disease)とは一般的には潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)を指し,原因不明の難治性消化管疾患として厚生労働省の特定疾患に指定されています。比較的稀な疾患ですが,2014年までに全国で,潰瘍性大腸炎の方が171,000人,クローン病の方が41,000人登録され年々増加傾向にあります。
当院では2020年にUC246名,CD92名の受診があり,専門外来を開き診療しています。10~20歳台の若年者を中心に発症し,腹痛,下痢,血便などで食事が摂れず,再発性,難治であり,長期の入院や手術が必要となることも多い疾患です。そのため身体的な負担のみでなく,学業や仕事,結婚などの社会的なQOLも著しく侵害され,本人や家族の大きな苦痛となっています。
しかし,この数年間で免疫調整剤の使用や抗TNFα抗体剤などの分子標的治療薬の出現で劇的な治療の進歩が見られ,早期の適切な治療によりIBD患者さんの予後が大きく改善される時代となっています。