教えてドクター

このページを印刷する

不整脈の治療

循環器内科部長 三浦 史晴

循環器内科部長
日本不整脈心電学会 不整脈専門医
三浦 史晴

専門

循環器内科
不整脈治療,カテーテル治療,ペースメーカー治療

不整脈について

「不整脈」とは,脈の異常の事を言います。不整脈には脈が速い,脈が遅い,脈が乱れるなどがあり,動悸,息切れ,ふらつき等いろいろな症状が含まれます。

脈は心臓から血液が送り出される事を意味しますが,脈が少なすぎると,心臓から血液が送り出す量が不足し,全身主に脳に行く血液の量が不足し,ふらつきやひどい場合には意識を失うことになります。また,脈が多すぎると心臓は空うちの状態となり,血圧も低下し全身や脳に十分な血液を送り出すことができなくなります。

そのような症状の中には,治療の必要がないものから,放置すると生命に関わるものまで幅広く,それを見極めるのが不整脈治療の第一歩です。

気になる症状

・脈が遅い

・脈が速い

・脈が乱れる

・動悸

・息切れ

心臓のセルフチェック

「脈が飛ぶ」「脈が速くなる」一度は誰でも感じたことがあると思います。このような症状の中には,放置してもいいものから治療が必要な病気まで含まれます。では,どうしたらいいでしょう。まずは,自分で脈をとることが大事です。定期的に検診を受けることはもちろんですが,毎日の自己管理が重要です。

自分で決まった時間に毎日脈をとることが一番簡単な方法です。家庭血圧計で測る脈拍数でも得られる情報は多いと思います。正常の脈の数は,座った状態やゆっくりしてくつろいでいる時で,1分間に60回から80回程度です。(年齢により異なりますが,自分のいつもの脈の数はこんなものと知っておくことも重要です)脈はちょうどいい回数で,規則正しく打つのが正常です。

その他,最近では簡易ではありますが,家庭血圧計と同じように携帯心電計で心電図測定が可能になっています。またスマートフォンを利用したアプリ,デジタル腕時計といった心拍数を測定できるもので簡単に脈をとることもできます。

脈を自分で管理することで,脈の異常を早期に発見し,早期治療することにより命に関わる病気や脳梗塞に至らずに済むこともありますので,ぜひ試してみてください。

家庭用血圧計で自己管理

携帯心電計

カテーテル治療

脈が速い場合の治療としては,主に飲み薬(抗不整脈薬と呼ばれます)を中心とした薬物療法が一番に思い浮かぶと思いますが,最近では抗不整脈薬の副作用が問題になり,不整脈専門の医師は,どうしても必要な場合のみ薬物療法を行います。それに代わる治療としては,カテーテル治療やデバイス(主にペースメーカーや植えこみ型除細動器など)を使った治療を適切に行っております。その中でも近年,最も進歩しているのがカテーテル治療です。

高周波カテーテルアブレーション

太ももの付け根や首の静脈からカテーテル(管)を入れ,
心臓の筋肉の一部分を焼き付け電気信号を抑えます。

このカテーテル治療は,高周波カテーテルアブレーション(経皮的心筋焼灼術)と言われ,心臓の筋肉(心筋)の一部分を実際に焼き,余分な心筋の電気信号を途絶するというものです。

このように,動悸や息切れがある場合には,飲み薬を飲まずにカテーテルアブレーションで根治できるものもありますので,ぜひ主治医の先生に相談してみてください。

最も治療対象になりうる「心房細動」とは

心房細動では心房壁が細く震えた状態で縮まないため,
血液の流れがゆるくなり,壁の内側に血液がこびりつく。

心房細動は,脈がバラバラに打つために脈が急に速くなったり,遅くなったりします。胸の違和感として感じ,しんどくなることが多いのですが,何も症状がない場合もあり,たまたま心電図をとって見つかることも少なくはありません。また症状がなくても,心房細動は脳卒中(特に脳の血管が詰まる脳梗塞)の原因となるため,高齢者や持病がある方は生命に関わることがあります。

従来,心房細動を含め不整脈といえば薬を飲んで治すということが当たり前でした。しかし最近では不整脈に対する薬は副作用や,だんだん効かなくなってくることが言われています。そこで根本的に心房細動を治しましょうという治療がカテーテルアブレーションです。

◎高温で焼く方法(高周波カテーテルアブレーション)※上記参照

◎超低温の冷凍で焼く方法(クライオアブレーション)

それぞれ長所と短所がありますが,うまく使い分けることで心房細動を3泊4日程度の入院で根本的に治すことが可能になってきています。治療時間も2−3時間で,眠っている間に治療することができ,治療に際してはなるべく苦痛を軽減するように努力しています。

またカテーテルアブレーションは,心房細動だけでなく,脈が急に早くなる病気や脈が飛ぶといった病気にも行うことが可能です。

「薬が多いので少しでも少なくしたい」「将来の脳梗塞が心配」「ついつい薬を飲み忘れてしまう」という方は,カテーテル治療を受けることをお勧めます。

クライオアブレーション

下のようなバルーンを肺静脈の入口に押しあてて,液体窒素を中に注入して冷凍凝固します。

(日本メドトロニック(株)提供)

①診断カテーテルを肺静脈に留置

②左房内でバルーンを拡張

③肺静脈をバルーンで閉塞し,
冷凍アブレーション開始(3~4分)

④診断カテーテルによる電気隔離の開始

ペースメーカー治療

以前は,ペースメーカーと言えば「MRIを撮れない」というのが欠点でしたが,今は条件付きではありますが,MRIを撮ることも可能になってきており,本体も小型化され寿命も長いものが使えるようになってきています。また当院では,ペースメーカーの状態を自宅にいながら病院で行うチェックとほぼ同様のチェックを行い,ペースメーカー異常の早期発見に活用できる遠隔モニタリングも導入しており,患者さんの日々の不安の解消に役立っています。

このように不整脈治療は日々進歩している領域ですので,今一度,動悸やふらつきなどの症状がある場合や,現在不整脈治療を受けているが他に治療法がないかと思われる方は,ぜひ不整脈専門の外来を受診してみてください。

ペースメーカーは,鎖骨の下に入れる本体と血管から心臓までつながる電線の2つで成り立っています。最近は,電池寿命も10年近くと長くなってきています。

トピックその1)“カプセル型ペースメーカー”って?

従来のペースメーカーの少ないデメリットの中に,ペースメーカー本体の出っ張りが気になる(特にやせた人は)ということがあります。その問題点を解消したのが,リードレスペースメーカーです。このペースメーカーはカテーテルを利用して,足の付け根から血管を通して,心臓の中に直接入れることができ,外からは全くペースメーカーが入っていることはわかりません。

当院では,2017年9月よりこのリードレスペースメーカーの植え込みを開始して,たくさんの患者さんにそのメリットを実感してもらっております。当然のようにMRIを撮ることも可能ですが,電池寿命が10年近くしかなく,電池が無くなればもう1つリードレスペースメーカーを植え込まないといけなくなり,適応となる疾患が限られるなど,現段階ではペースメーカー植え込みが必要になる患者さんの一部の人になりますが,利用可能になっております。

(日本メドトロニック(株)提供)

(日本メドトロニック(株)提供)

トピックその2)心臓にふれずに致死的不整脈をなおす?

S-ICD(皮下植え込み型除細動器)

命を一瞬でうばう致死的不整脈に対してAEDは広く普及してきておりますが,そのような致死的不整脈を持病として持っておられる患者さんに使用するICD(植え込み型除細動器)は,従来血管の中にリード(電線)を入れて,直接心臓に電気ショックで治療するのが一般的でした。

しかし現在は,血管や心臓に直接電線を入れることなく,電気ショックを行うことができる皮下植え込み型ICD(S-ICD)が利用可能になっております。これも疾患は限られますが,手術も比較的簡便で,体に負担をかけない治療となっております。

【従来のICD】

ペースメーカーと同様に,血管を経由して心臓まで電線が入ります。

【S-ICD】

皮膚の下に植え込むタイプのICD。血管に負担をかけない。もちろん,MRIの撮影は可能です。

トピックその3)心不全予防・治療のためのペースメーカー?

CRT-D(心臓再同期療法)

CRT(心臓再同期療法)は,以前は心不全のかなり進んだ患者さんに使用してきた普通のペースメーカーに,1本リード(電線)を追加して,心臓の壁の動きのずれ(心臓がシーソーのような運動をして,心臓のポンプの働きの効率が悪くなる)を解消するために使用してきました。近年は,心臓の壁の動きのずれ(左脚ブロックと診断された方など)により心臓のポンプの働きが悪くなっている患者さんは,早い段階でこのような器具を用いて心不全の予防を行っております。

心不全で入院を繰り返す前に,早期にこのような治療を選択することで,入院の機会が少なくなるメリットもあります。

従来のペースメーカーやICDに1本電線を増やすだけで,心不全の治療ができる。

以上のように,不整脈といっても軽症なものから重症なものまであり,根治可能なものも少なくはなく,このような不整脈には積極的に治療を行うことが重要です。また,心不全治療に関しても,早期に治療介入を行うこと,心不全入院を回避できることが,それにより寿命を長くすることができます。

当院では,カテーテルアブレーションやペースメーカー治療などをいち早く行うことができる体制を整えており,その症例数も県内でもトップレベルを誇っております。患者さんは誰一人同じ状況ではないので,それぞれの患者さんに適切な治療(生活のQOLを向上させ,寿命を長くする)を行うことをモットーに,日々治療を行っております。

《広報誌「もみじ91号(2016.9)」に掲載した内容を再編集しました(2018.11)》

外来診療時間

午前8時30分~午後5時15分

※初診の方はかかりつけ医の
 紹介状を持参してください。
※予約の無い方の受付時間
 午前8時30分~午前11時
休診日
土曜,日曜,祝日,年末年始
(12月29日から1月3日)
面会時間
11時~13時まで(平日)
15時~20時まで(平日)
11時~20時まで(土・日・祝日)

〒734-8530
広島市南区宇品神田一丁目5番54号
TEL(082)254ー1818(代表)

①③⑤番

「県病院前」下車徒歩3分

広電バス 12号

「県病院前」下車徒歩1分

広島バス 31号

「県病院前」下車徒歩1分