田中 飛鳥

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田中 飛鳥たなか あすか

部長

専門

移植・透析医療一般
消化器外科

資格・その他

日本外科学会外科専門医
日本移植学会認定医
日本臨床腎移植学会認定医

腎代替療法について

私は透析・腎移植といった腎不全医療を担当しています。県立広島病院は,研修医2年,外科医になってからの2年間を過ごし,外科医としての基礎を学ばせて頂きました。この思い出深い県立広島病院に10年ぶりに戻ってこられたことを大変光栄に思っております。

腎臓は体内に貯まった毒素や余分な水分を尿として排泄し,体内のバランスを調整する重要な臓器です。腎機能が廃絶した末期腎不全患者さんは尿を出すことができないために,厳しい水分制限や食事制限を課せられる上,廃絶した腎機能に代わる治療(=腎代替療法)が必要となります。腎代替療法には,「透析」と「腎移植」の2つの方法があります。

その代表的な治療法の一つである透析療法ですが,毎年3万人以上の末期腎不全患者さんが透析療法を導入されており,現在維持透析を受けている患者さんは約34万人に上ります(2018年日本透析医学会統計)。

当科では腎臓内科とともに,内科的治療が困難な末期腎不全患者さんに対して,透析療法を行うための内シャント造設並びに維持管理を行っております。透析療法はデバイスや抗凝固・ホルモン剤の改良により格段に進歩し,腎不全患者さんの寿命は大幅に延びましたが,依然,透析療法は完全な腎代替療法ではないため,長期透析に伴い様々な合併症が出現する可能性があります。また,通常血液透析の場合,週3回・1回4時間を透析療法に費やさねばならず,日常生活の上で大きな障害となります。

もう一つの治療法として腎移植があります。腎移植は,腎臓の提供者が必要であることが問題になりますが,生活の自由度が高く,良好な生命予後が期待できる治療方法です。生涯にわたり免疫抑制剤を服用しなければならないというデメリットはあるものの,ほぼ完全な腎機能の代替療法となりえます。

現在,免疫抑制剤の進歩により移植腎の生着率は格段に向上しています。以前は禁忌とされた血液型の一致しないドナーからの移植も可能となっています。こうした移植医療の進歩を一人でも多くの腎不全患者さんに知っていただき,移植を希望する機会を持ってもらえるよう努力したいと考えています。

患者さん一人一人に適した治療法を提案していけるよう日々精進して参りますので,腎不全で苦しんでおられる患者さんがおられましたらご紹介をよろしくお願いいたします。