急増する脂肪性肝疾患,進化する肝炎・肺癌治療
肝疾患はB型・C型肝炎をはじめとするウイルス性肝炎,原発性肝がん,非アルコール性脂肪性肝疾患などの栄養・代謝障害,門脈圧亢進症,自己免疫性肝疾患,急性・慢性肝不全など多岐にわたります。近年,肝炎ウイルスに対する抗ウイルスに対する抗ウイルス療法は飛躍的な進歩を遂げ,ほぼ副作用なくウイルスを消失することができるようになりました。また,肝がん治療における薬物の治療成績も大きく向上しております。
肝がん,肝硬変の原因として従来ウイルス性肝炎が主たる原因でしたが,近年は非アルコール性脂肪性肝疾患もしくはMASLD(Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease)と呼ばれる,肥満や糖尿病などの生活習慣病を基盤とした脂肪肝が急増しています。脂肪肝患者の予後は,肝臓の線維化(硬さ)によって決まると言われており,肝臓が硬くなりつつあれば早期に治療介入する必要があります。糖尿病や脂肪肝があり,肝臓の線維化マーカー(Fid4 indexなど)が高値であれば,お気軽にご紹介ください。
私は市立三次中央病院にて医師としての研鑽を開始し,JA広島総合病院にて消化器内科医として診療に従事してまいりました。その後,広島大学病院で長らく肝疾患の診療・研究・教育に携わり,広島県の肝疾患診療連携拠点病院事業や,肝炎治療費助成対象患者認定協議会の委員も務めさせていただいております。
今後も肝疾患を中心に,患者さんの目線に立った温かみのある医療を提供できるように心がけ,地域医療に貢献できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。