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岐浦 禎展きうら よしひろ

部長

専門

脳卒中
脳動脈瘤・脳梗塞の血管内治療

資格・その他

日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医
日本脳卒中学会専門医・指導医
日本頭痛学会専門医・指導医

脳血管内治療について

脳血管内治療では大腿動脈からカテーテルを用いて,脳や頸部の血管を治療します。代表的な方法として,脳動脈瘤コイル塞栓術と頚動脈ステント留置術があります。


脳動脈瘤コイル塞栓術

マイクロカテーテルを脳動脈瘤に留置して,脳動脈瘤内にプラチナ製のコイルを留置し,動脈瘤の破裂を防ぐ治療です。動脈瘤に対して従来からの治療方法に開頭クリッピング術という確立した治療があります。破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)患者において脳動脈瘤コイル塞栓術の有効性と安全性を開頭クリッピング術と比較したISATの報告により,破裂脳動脈瘤に対する脳動脈瘤コイル塞栓術の割合が増えています。また徐々に未破裂脳動脈瘤にも適応が増えています。


頚動脈ステント留置術(CAS)

頚部頚動脈の狭窄部に自己拡張型ステントを留置して,狭窄部の拡張を行います。従来の治療として頚動脈内膜剥離術(CEA)というエビデンスの確立した治療があります。2008年にCEAの高危険群に対して,本邦で保険承認されました。その後デバイスの改良や遠位塞栓に対するプロテクションの工夫により治療リスクが減り,最近ではCEAとほぼ同等の治療成績が得られるようになりました。

他に経皮的血行再建術,脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻に対する塞栓術などがあります。私はこの15年間で年間100~150件の脳血管内治療を行ってきました。脳血管内治療の利点として,低侵襲で術後の回復も早く,全身合併症のため手術リスクが高い症例も治療可能であること,直達術で到達困難な部位も容易に到達が可能であることなどが挙げられます。その一方で虚血性合併症の可能性があることや長期的なフォローアップが必須であることなど注意すべき点もあります。我々の施設では,各々の症例で確実性・安全性を見極め,直達術,血管内治療そして内科的治療の選択を行い,より高いレベルでの治療を目指しています。